『シン・エヴァンゲリオン劇場版』にてシンジ・アスカ・レイは「第三村」でトウジ・ケンスケ・ヒカリと会います。
鈴原トウジと洞木ヒカリは夫婦になって登場しました。トウジとケンスケはシンジを、ヒカリはレイのことを気にかけてくれました。
ヒカリがレイに教えた「おまじない」についてピックアップします。
第三村について
ケンスケや光とともにニアサードインパクトを生き残り、同じくインパクトを生き残った者たちの集落「第三村」で無免許の医師として働いているトウジ。
「あれ?無免許の医師?どっかで聞き覚えがあるような…。」
感のいい人はピーンッと来たはず!
そうです、冬月先生です。
2002年のエピソードとして、冬月教授(当時)が南極にネルフ以外のスタッフとして探査に参加する敬意が描かれていました。
この時冬月は愛知県豊橋市跡で、もぐりの医者に近い開業医をしており、南極行きの調査に誘われていました。
実はネルフに入る前の冬月コウゾウは医者だったんですね。
鈴原トウジと冬月コウゾウの意外な共通点ですね。
話は戻って、かつての同級生ながらも「14歳の少年」のままであるシンジを心の距離に配慮しながらも優しく接する様子は、トウジが大人に成長したことがうかがえます。
また、ようやくひとりで立ち直ったシンジに、トウジは現在の状況に至るまでにあったこと話します。無免許の医師として第三村で働くトウジは、人を救うことの覚悟と責任を背負っているようにも見えます。
自分より先に「大人」になっていたトウジやケンスケの姿を見たシンジも「大人」に成長します。ケンスケは父親を事故で亡くしており、父親がまだ生きているシンジに対して、「父親と話す」ことを勧めます。シンジとゲンドウの対話、そこに答えがあるとケンスケは考えていたのかもしれません。
おまじないについて
ニアサードインパクトの後にトウジと結婚し、トウジとの間に生まれた一人娘であるツバメを育てるヒカリ。ヒカリは『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で、外の世界を知らないアヤナミに、第三村の生活を通して、まるで母親のようにいろいろなことを教えてくれます。その中でも印象深かったのは、人と人とのコミュニケーションに必要なおまじないでした。
アヤナミはヒカリや第三村のおばちゃんたちと一緒に田植えをしたり、お風呂に入ったりしながら、人と人とのコミュニケーションを知っていきます。
自らの指揮を悟ったことでヒカリたち第三村のもとを離れたアヤナミが、置手紙にヒカリに教わった4つのおまじないである「おはよう」「おやすみ」「ありがとう」「さようなら」という挨拶と感謝の言葉を残しました。
この「ありがとう」と「さようなら」という言葉からあることを思い出した人もいるのでは?
旧エヴァアニメ版の最終回、最後に出てきたのが「父にありがとう」「母にさようなら」「そしてすべての子どもたち(チルドレン)におめでとう」という言葉。
そこでも「ありがとう」と「さようなら」という言葉が登場していました。
制作側が意図的にそうしたかは分かりませんが、偶然にしてもファンが旧エヴァを想起させるきっかけのひとつにもなっているなと感じます。
第三村での生活を通して「生きる」ことの意味や幸せを知り、シンジから改めて「綾波」と名前を呼んでもらったことで、今まで「綾波」のそっくりさんだった場所から「綾波」へと変化しました。アヤナミレイが死ぬ直前に綾波になった理由はきっとそこにあるのでしょう。アヤナミレイの人生は短いながらも意味のある人生へと変化していったのだと思います。
綾波がヒカリから教えてもらった4つのおまじないには、「自己という他者の幸せを願ってくれる他者の思い」と「そのような他者の幸せを願うことでお返しをしようとする自己の思い」が込められています。そんな4つのおまじないを綾波が置手紙に書いて残したのは、ヒカリや第三村の人々に対してのお返しと幸せを願っての行動だと言えるのではないでしょうか。
コメント